「東京都青少年健全育成条例」の改定案について

2010年3月10日 全国同人誌即売会連絡会


 現在行われている東京都議会にて、「東京都青少年健全育成条例」の改定案が提出されています。この改定案には、様々な問題点があるのですが、その中でも、「非実在青少年」という新たな概念が定義されており、創作物への規制が盛り込まれています。

第七条 二 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

 全国同人誌即売会連絡会としては、この改定案の内容を憂慮しており、先日、関係者を通じて、一部の都議会会派に宛て、下記の請願書をお送りしてもいます。

平成22年第1回定例会・第三十号議案に関する請願

「第三十号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」の見直しをしていただきたい。

 現在、東京都議会に提出されております「第三十号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」につきまして、意見を述べさせていただきます。
 議案の第七条改定案の中に「非実在青少年」という新たな概念が定義されております。「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの」とされていますが、こうした表現が「児童ポルノ」に該当するかのように書かれており、創作物への規制により「表現の自由」への侵害に繋がることを大きく危惧しております。
 また、「非実在青少年」の定義も具体的にどのようなものか明確に書かれておらず、解釈によっては青少年を描写したアニメ、マンガ等が全てが適用されてしまいます。
 こうした懸念について3月3日本会議の一般質問において、民主党・西沢けいた氏の質疑、青少年治安対策本部長・倉田潤氏の答弁がありました。倉田氏によれば改定の意図は「『非実在青少年』の性交または性交類似行為に係る姿態を正当な理由なく、性的対象として肯定的に描写したマンガ等について青少年に対する販売等の自主規制および、不健全図書指定の対象に追加しようとするもの」であり、「単に子供やその裸の描写が含まれるマンガやアニメを規制するものではなく、また広く成人向けの流通一般を規制するものでもない」旨の発言がありました。
 そのような意図であれば現行の第七条に『青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの』とある通り、青少年が閲覧することにより性的感情を刺激するなどの恐れがあるマンガ等の図書類については、青少年の目に触れないようにするための規制が既に設けられており、各業界の自主規制も機能しているため、新たな規定を作る必要性を感じません。
 拡大解釈が可能な条例を制定することより、各業界や事業者への過度な自主規制を強いる可能性は極めて高く、出版物が有害かどうかを行政が判断することも含め、憲法第21条が定める「表現の自由」との矛盾が生じます。さらに「児童ポルノ」の定義や、創作物規制を含めるかどうかについては、現在国でも慎重な論議が進められている渦中でもあり、この状況下で条例を急いで制定することにより、憲法第94条に規定されている法律の範囲内で定めることの出来る条例の枠から逸脱しかねず、その違憲性についても危惧しております。
 以上の理由により「第三十号議案」の見直しをお願いするとともに、おざなりになっている被害児童に対する心身のケアなどの対策強化、過度な情報規制が青少年の人権を侵害しないかの検証など、福祉・人権視点から青少年の健全育成施策を強く望むものであります。

 この改定案は3月18日に都議会総務委で審議され、19日に同委で採決、30日に本会議で採決が行われる予定。本会議で可決されれば、10月1日から施行されます。
 もし、この改定案が通った場合、私たちの同人活動にも多大な影響があることが予測されます。そして事態は逼迫しており、この改定を阻止するためには、都議会の議員に私たちの声を直接届ける必要があります。
 下記に東京都の議員の連絡先と、意見を送る際の注意点を書き添えました。連絡会の参加団体、ならびに、この問題に関心のある方はぜひ具体的な行動をお願い致します。

【議員連絡先】
民主党・都議会議員名簿
生活ネットワークみらい・都議会議員名簿
自民党・都議会議員名簿
共産党・都議会議員名簿


【メッセージを送る際の注意点】
・手紙かメールを推奨します。FAXや電話は数が多いと先方の迷惑になり、逆効果なので避けましょう。
・自分の名前と連絡先(住所)を必ず記載しましょう。
・内容は整理し、短めのもので構いません。ただし、なるべく礼儀正しい文面で送ること。脅すような内容は勿論逆効果です。
・連絡会の請願書を引用したり、参考にするのは勿論構いませんが、コピペでは効果が薄いです。なるべく自分の言葉で伝えるように心がけてください。
・都民の方は地元の議員さんに送るようにしてください。この場合、地元であることを挨拶などで入れるとより効果があると思われます。
・支持政党があれば、もちろんその党の議員さんに送りましょう。その際は、いつも投票していることを書き添えると良いと思います。

なお、都条例改定問題に関しては、以下の記事等を参照下さい。

ITメディアニュース(2010年03月09日)
「漫画・アニメの『非実在青少年』も対象に 東京都の青少年育成条例改正案」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/09/news103.html

「東京都青少年健全育成条例改正問題のまとめサイト」
http://mitb.bufsiz.jp/

「条例改正案全文の書類データ」
http://www1.odn.ne.jp/himagine_no9/20100224.pdf

藤本由香里氏
「都条例“非実在青少年”の規制について」
http://twitpic.com/176xew

山口貴士氏
「弁護士山口貴士大いに語る」
http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2010/03/post-a2d1.html

中杜カズサ氏
「東京都青少年育成条例改正案における表現規制の危険性について語る」
http://d.hatena.ne.jp/nakakzs/20100228



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