著作権法「ダウンロード違法化の対象範囲見直し」について

2019年3月10日
全国同人誌即売会連絡会

 今般、文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会での審議を経て、現在与党にて審査中の著作権法の改定における「ダウンロード違法化の対象範囲見直し」につきましては、日本漫画家協会(https://www.nihonmangakakyokai.or.jp/?tbl=information&id=7718)、日本マンガ学会(https://www.jsscc.net/info/130533)、法学者を中心とする有志の皆さん(http://www.kisc.meiji.ac.jp/~ip/_src/sc1464/20190219seimei.pdf)等により、既に憂慮・反対の意見表明がなされております。

 これらの意見表明にて指摘されている諸課題につきましては、全国同人誌即売会連絡会(以下、当連絡会とします)も、その問題意識を共有するものです。

 原作をそのままアップロードしインターネット上で公開する「海賊版」行為は、商業作品ばかりがその対象なのではなく、多くの同人作品もその被害に遭っております。特に、同人作品を発行するサークルはほとんどが草の根の個人の運営であり、個々の対策には限界があります。したがって、インターネットにおける海賊版の総合対策が進むことについては、総論として当連絡会も異存はありません。

 しかしながら、今般の改定案が、1)拙速な検討の結果、海賊版対策が本来の目的であるにも関わらず、2)漫画村やFree Booksのような、これまで猛威を振るった一般的なストリーミング型の海賊版サイトの利用者が対象とならず、実質的な意味に欠けている一方で、3)「ダウンロード違法化」の範囲拡大によって、同人・商業を問わない広範なクリエイターの表現・創作活動、研究者等の活動の萎縮が懸念され、また、国民生活全般に影響を及ぼしかねない内容になっていることを、当連絡会も憂慮するものです。

 この国において、創作文化が花開いているのは、のびのびと自由に創作・表現活動を行うことができるからに他ならないと思います。また、同人作品を中心とした個人による草の根の自由な活動が、極めて幅広い裾野となっており、その中からプロになる方も数多くおられ、より高い頂きを創り出してもいます。一方で、商業ベースとは異なるオルタナティブな同人活動が行われる中で、様々な創作・表現の追求も行われ、逆にプロの方が同人活動を楽しまれることも当たり前の風景となってもいます。

 つきましては、残された期間もわずかな状況ではありますので、改めて慎重かつ充分な議論の上、問題点の解消をしていただきたく、「ダウンロード違法化の対象範囲見直し」は、今通常国会では改定案から削除いただくことを希望する次第です。

 また、同人作品に関わる送り手・受け手の皆さんも、現状をご理解いただくとともに、各で可能な発信と働きかけをしていただければと思います。

以上